Hog ||| 豚皮イヤーフラップHogの話
LADEカスタムオーダービーニーのNationやHogで使用されている豚皮のイヤーフラップで今日は少しまじめな話を。
自分は毛皮目当てに動物が乱獲されたり絶滅に瀕したり、人間のエゴ丸出しで毛皮を身にまとったりというのはもちろん好きではありません。動物の毛皮は厳しい自然環境の中で命のやり取りをする人達、イヌイットや先住民の人達が命を守るためにその性能を必要として身につけて来たものだと思います。
ビーニーで使っているイヤーフラップのライナーのボアやファーは全てアクリルやポリエステル製のフェイクです。LADEのビーニーの場合いくら厳しい雪山の環境を想定してもフェイクファーやボアの保温性で十二分の性能があります。
アウターのウールにしても羊の命を殺めて得ているものではなく、数年前まで当時のカタログにはAnimal Freeという記載をしていました。
ビーニーをテストして改良してを繰り返すうち、ストラップの使用で雑に引いたり何度も使ってもへたらずに何年も使えるようイヤーフラップの素材を毛糸ではなく別の素材で作ることを試し出します。長年使用する丈夫さや低温への強さを考慮するときやはり本皮を使用することがベストでした。
何種類かの皮を試した結果、軽量でかつコンパクトに丸められるものとして鹿か豚かとなり、だったら食用と併用して皮も取られている豚を選択することに決めました。
豚の皮は柔らかくしなやかで軽く、オイルを入れると防水性も発揮します。他の皮と同じく長年使うことで色味や風合いを育てエイジングも楽しめます。皮ならではの愛着とギアとしての長年使える耐久性を考えた時、豚の皮を採用したことは長く大事に使ってもらうという点で間違いではなかったと思っています。
皮を使用するにあたってLADEではそんな葛藤も多少あり、やはり豚皮のイヤーフラップを選んでもらった方には大事にずっと使ってほしいなという思いがあります。
今年は豚皮のイヤーフラップが盛況でちょうど今日、革問屋さんからオーダーしていた豚皮が届いたところでした。
革は一頭買いというスタイルです。一頭分の革そのままの形で納品されてきます。なので切り出す場所やその豚によって傷やあたり、変色が入っていることがあります。自分はそのような箇所も耐久性を悪くするような薄かったり破けていたりというモノ以外はそのままお構いなしに使わせてもらっています。やはりもったいないし使ってやらないとかわいそうという気持ちもあるのですが、得てしてそういった傷などの跡は年数が経つとそういうところほどオイルが入ったりして雰囲気が出て良い特徴になっていきます。
今回は一頭分の革で25個分のイヤーフラップを切り出しました。余った部分や端も、イヤーフラップ先端の四角いバックル受けだったり、ストラップの滑り止めの小さい四角の部分に細かく切り出し余すことなく全てをきっちり使います。
切り出した革は縫製の前にラナパーという動物性ではないオイルを入れています。蜜蝋、ホホバオイルといった天然の素材だけが原料で顔に近いところに使うものなので匂いだったりベタつきのない安全なものを選んでます。かと言ってよくあるミンクオイルなどにも引けをとらないどころか性能も使い勝手もかなりいいオイルなので後のお手入れにもこのラナパーおすすめです。
さて革の切り出しも終了、オイルの乾くまでこの文章を書いていましたがまたミシンに向かうとします。